【講談社】
世界のことわざ名言辞典
(編:モーリス・マルー)
発売日08/1999
<読書レビュー>
イタリアを含め、各国のことわざが掲載。言葉の解釈は一部の解りにくいもの以外はありません。古代ギリシャや古代ローマ時代、聖書に記載されている事も含まれていて、文庫本サイズとしては他のものに比べて素晴らしいボリューム。残念ながらすべて日本語で書かれているので、現地(元)の言葉で知りたい場合は自分で別途調べる必要がある。 |
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【講談社】
へんなことわざ
(著:のり・たまみ)
発売日10/2011
<読書レビュー>
日本のことわざだけでなく、イタリア等ヨーロッパ諸国のほか、インドやアフリカ諸国等のことわざも紹介されています。「へんなことわざ」とありますが、各国の文化を落とすような意味ではなく、「異文化」としてみて興味深い表現を楽しむ本です。ことわざの選出は6つのカテゴリに分かれています。動物、男と女、異文化、下ネタ、黒いことわざ、教訓編です。慣習(文化)の違いを知ってはじめて理解できる、ことわざを読んだだけでは意味するところがわからないものもあります。そこは解説部分を読んで納得。こういった文化的背景があるのか!と新しい発見があります。この本の良いところは、ことわざの説明もしっかりあり、かつ、豆知識が充実しているところです。小ネタというか、豆知識が部分が秀逸。その国の文化に触れたことであったり、ことわざが生まれた流れであったり好奇心を満たしてくれます。 |
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【三省堂】
世界のことば・辞書の辞典 (ヨーロッパ編)
(編集:石井米雄)
発売日08/2008
<読書レビュー>
「辞書の辞典」って、どんなだろうと興味を惹かれて手にとった1冊。構成は、各言語ごとに見出しが分かれていて、”その言語の辞書の歴史”からはじまり、用途別(?)の辞書の紹介があります。用途別というのは、たとえば、イタリア語のところでいえば、古典的辞書、一般辞書、特殊辞書、百科辞書、学習辞書、英語との対訳辞書、文法書と入門書と分かれていて、代表的なものが数点ずつタイトルと内容の紹介されています。イタリア語で書かれたイタリア語の辞書だけでなく、日本語のものもいくらか紹介があります。
日本語で書かれたものは、パラパラっと中をのぞいたら、自分にとって使いやすいものかどうか選ぶことができますが、すべて外国語だとどれを選んでいいのか判断が難しい。この本を読んで、こういうのがあるのかっ!と、とても参考になりました。
この本はあくまで辞書の辞書なので、各言語の系統について説くような辞書ではありません。
基本的には辞書の紹介(語彙数、著者等の概要)がメインです。読み物としての面白さは、その言語の辞書ができた(必要とされた)流れの部分かな。
あっ、本の本編ではないですが、とても印象深くてわくわくしたところがありました。最初に各言語(アジアもあり)で「辞書にお金を惜しむべからず」と書いてあり、後の頁で、その文の文法的説明があります。なぜこの言葉を当てはめたのかという説明です。この部分がすごく楽しい!!なぜなら、必ずしもその日本語に当てはまる言葉ではないからです。直訳すると「変」だけど、意味合いは「辞書にお金を惜しむべからず」になるとか。
例えば、フランス語では「ケチケチする」を否定して、文ができているのですが、そのケチケチが、「タバコの使いさし」という語で用いられていました。これは直訳じゃわからないよ!笑。こういうのが各語、綴られています。
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【技術評論社】
思わずニヤリ。チョット知的なことわざ学
(著:塩田 丸男/赤星 たみこ)
発売日05/2007
<読書レビュー>
これまでこの手のジャンルを読んだことがない人向け。各国のことわざ好きで、すでに色々読んだ人には物足りない。1つ1つの諺の解釈が書かれているので掲載数が少ない。また、その解釈や説明の方法が、漫画的な絵と諺をもじった駄洒落を含む、ゆるさが読む人の好き嫌いが分かれるところ。 |
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【新潮社】
アラブの格言
(著:曽野 綾子)
発売日05/2003
<読書レビュー>
異なる文化(海外の方々)との交流の中では「常識的に考えて」というのはナンセンスな言葉だなぁと改めて考えさせられる本です。特に喜捨(寄付)に関する考え方は驚かされます。全体的な感想として、男性社会の話を女性の著者が書いてあるところに最初は興味を持ち読みましたが、女性からの視点でなく、淡々とイスラム文化そのものについてアラブ諸国の格言を通して書いてあります。格言が語る世界はとても人間くさく、どれも非常に興味深い。これまで知らなかった世界をのぞいた気分になります。 |
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【扶桑社】
マルチリンガルの外国語学習法
-ある翻訳家の「語学」心覚え-
(著:石井 啓一郎)
発売日05/2003
<読書レビュー>
この手のタイトルの本によくある気軽なハウツー本かと思って手にとったのだけど、まったく違いました。この方の学習量をこなせる方は早々いないだろうなぁと思うくらい熱心で、語学に対する真剣な姿勢が伝わります。天才ではなく努力の賜物。
タイトルに「学習法」とあるけど目新しい学習法はありませんでした。著者は、学習の過程においてまず文法を重んじています。とても納得。自分の言葉として伝えるには、例文の丸覚えでは対応できない。応用をきかせるには文の構造を知らなきゃはじまらないものね。
自分の話ですが、イタリア語を学ぼうとしたとき、動詞変化の多さに圧倒されて、先にここから覚えないと!と文法中心で学んだけど、これでよかったんだなぁと今、とても納得する。対して、英語は長い期間学んだはずなのに、まったく書きたいことが書けない。辞書を使っても。それは、義務教育であれほど英語を学んだけど、教科書の丸覚えで、文法に手をつけなかったから、応用が利かない・・・だから、できないなんだろうな〜なんて、思います。
そうそう、驚いたのは先に文法を知らないと辞書さえ使えない(辞書で探せない)複雑な変化をする言語もあるのだとか。イタリア語も動詞は人称によって変化していくけど、辞書に○○(原形)参照とかあるものね。その比じゃない変化とか・・・アラビア語、なんて恐ろしい・笑。
最後にもう1つ、勉強法的なことと言えば、文法レベルに応じた本の読み込みでした。段階的にレベルを上げていく。そのとおりだね。ただ、この方のすごいところは、著者は当初から論文などを辞書片手に読み漁ったという。著者自身もこれはちょっと・・・と言っている・笑。しかし、読みたいとか、何かしら「目的」があって学ぶというのは、これほど脳を使うことができるんだなぁと素直にすごいと思う。とにかく尋常じゃない努力だ。
内容自体はハウツーではなく、各語の文法的違いや著者の経験談が主です。動詞変化の話等を文法用語を多分に含むので、何かしら言語を学んだことがある人の方が読みやすいと思います。イタリア語の話(例)も一部ありますが、主ではありません。ただ、他の言語はさっぱりわからないのに対して、少しでも知っていることが出ると嬉しくなる。 |
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【国際語学社】
まずはこれだけ ハンガリー語
(著:岡本 真理)
発売日01/2011
<読書レビュー>
タイトルは入門者向けですが、良い意味でコンパクトにまとめられ過ぎていて、この1冊だけで勉強するのは少しつらいです。
本当に重要な文法ポイントを表(など)にまとめてあるので、後から文法を確認するのにとても便利です。しかし表形式でまとまり過ぎてどんどん先に進みます。暗記事項の確認最適。1つの文法項目に対して例文も1文くらいで、練習問題がないので、実践による習得は難しいかもしれな。もう少し例文がほしかった。構成は、大きく分けて3つ。最初に、発音と単語。次に基本文法。特徴としては、イタリア語のように人称によって語尾変化するので強調する場合を除いて主語を省きます。あと、接尾辞によって様々な表現するので、慣れるまでどこが語幹なのかクイズみたいで楽しい。3つ目は、旅行会話集。文法的説明、単語説明は残念ながらありません。文法に疲れたら、挨拶などの単語をここから覚えるとよいです。 |
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【ベレ出版】
しっかり学ぶドイツ語―文法と練習問題
(著:岩間 智子)
発売日05/2000
<読書レビュー>
しっかり学ぶシリーズです。入門者には厳しいかもしれません。文法本なのに文法解説があっさり過ぎる・苦。著者はたくさん聴く事、話す事が最も大切としています。文法は聴く・話すの次で良い、その考え方が反映されていると感じます。文法は補助扱いで、付属のCDを聴くのがよし。例文は短く、何度も同じ単語を使って、少しずつ違う表現になっているので初級者のリスニング強化に良いかも。私は文法書ではなく、リスニング教材・復習用に使います。
ドイツ語もイタリア語同様に名詞に女性・男性の性があり、加えて中性があり、それによる冠詞の変化もあり。また主語による動詞の語尾変化があります。イタリア語学習者の方々は、イメージつくかと思いますが、変化を文で示されてもわかりにくい。表形式のおまとめ表がほしかった。この本では自分でまとめる必要があります。残念なのが、前半、人称変化を全部いっきに説明していないので、表を作るにも穴抜け。おそらく、1度に覚えたら混乱するとの考慮かも知れませんが、逆に混乱を招きそうです。初級者にとって良いと思う点は練習問題。単語を変えた繰り返し問題がたくさんあるので良いです。問題がシンプルなので、詰まることなく進めます。ページの下に解答があるので、ページ移動することなくサクサク進めることができます。
総合的にみて、少し下地がある人向けだと思います。 |
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【東洋書店】
ロシア料理・レシピとしきたり
(著:荒木 瑩子)
発売日11/2000
<読書レビュー>
現代はお食事の時に、銘々のお皿に取り分けて食べるそうですが、昔は大きな壷を囲んでそれぞがその壷の中からスプーンを入れて食べていたそう。その為、家族以外やお客様とお食事をする際には、壷から取り出す毎にスプーンを一度拭くというマナーがあったそうです。他にもマナーに関する事が書いてあります。ロシアでは、指差しは侮蔑の意味があるとか、ゲップをするのは放屁よりもお下品な事など、興味深い習慣を知ることができます。 |
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【東洋書店】
ほろ酔い加減のロシア -ウォッカ迷(名)言集-
(著:狩野亨)
発売日06/2005
<読書レビュー>
60ページちょっとのブックレットですが、単に楽しい酔っ払いの言葉だけを集めたようなネタ本ではありません。文化にも触れることができる。著者の留学時代の話はソビエト時代なので、現代の体制とは異なる部分があるでしょうが、風景や町・生活がイメージできたので興味深かったです。これはなかなかに面白いと思ったのは、ロシア語の柔軟性とその豊かさ。名言はロシア語と日本語訳が併記されています。同じスペル(文字)で書くけど、意味が異なるとか、スペルを同音(似た音)の別の文字に変えると、おかしな意味なったり。そういう言葉あそびを駆使して、名言が作られています。酔っ払いの言葉(酒好きの為の言葉・酒を飲む為の言い訳)とは思えないほど、文がユニーク。たとえば「(中毒で)手が震えるから、酒がこぼしてしまう⇒(少量しか)飲めない⇒そしてまた震えてこぼす⇒結局、ちょっとしか飲んでない(飲めない)から、飲めば飲むほど少量しか飲めず脱アルコール?」的な言い訳とか。屁理屈と言えばそうだけど、なんだか「屁理屈」としてだけでは括れない言葉のセンスを感じる。 |
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【偕成社】
鏡 -ゴースト・ストーリーズ-
(スーザン クーパー (著), マーガレット マーヒー (著), こみね ゆら (イラスト), Susan Cooper (原著),
Margaret Mahy (原著), 角野 栄子 (翻訳), 市河 紀子 (翻訳) )
発売日12/2003
<読書レビュー>
大人が読んでも大変面白い。私は非常に涙もろいので他の方が読んでも泣くかどうかわかりませんが、感動してで泣きました。怖い話なはずですが・笑。この短編集はひとつの国からひとりの作家が、対象年齢12歳に向けたホラー短編集の世界大会企画から生まれた作品集になります。日本代表はなんと、あの魔女の宅急便の原作者でおなじみの角野栄子さんです!日本語版のこの短編集では6名、6カ国の方(イギリス、ニュージーランド、アフリカ、ポーランド、カナダ、そして日本)の作品が収められています。どの作者の方々も素晴らしい作家さんです。現代ホラーなので、国による民族的な伝統や伝説を感じる箇所はそれほど多くありませんが、それぞれイイ味が出ております。ホラーが苦手な方でも大丈夫。児童書なので当たり前かもしれませんが、陰湿的な怖さはありません。まぁ、若干後味が、「ぁあああー!」な話はありましたが・笑。わくわくして、ホラーなのに泣ける素敵な本です。
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【白水社】
ヨーロッパの現代伝説 悪魔のほくろ
(編:ロルフ・W・ブレードニヒ, 訳:池田 香代子/真田 健司 )
発売日12/2003
<読書レビュー>
都市伝説を集めたもの。「ヨーロッパ」とタイトルにあるが、作者がドイツの方なので、話はドイツのものが多い。都市伝説独特の派生話も収録してあり、少しずつ違っていく様が面白い。興味深いことに日本の都市伝説と同じ内容の話もあった。日本とヨーロッパどちらが発祥なのかはわからないけど、どうにかして口頭伝承が世界中に広がるのかと思うと面白い。 |
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【講談社】
中欧怪奇紀行
(田中 芳樹 / 赤城 毅)
発売日12/2003
<読書レビュー>
対談形式で語られる中欧(ドイツやルーマニアなど)に伝わる怖い話。現代的な怖い話ではなく、ドラキュラや狼男などの古典的な伝承が中心。なぜそのような伝承ができたかという背景の話もあり、民話伝承から映画での扱われ方まで幅広く討論されているところが面白い。また、最後に2人の作家がそれぞれ分野の違う怖い物語を書いていて、楽しめた。 |
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【社会思想社】
フランス怪奇民話集
(植田 祐次, 山内 淳)
発売日07/1993
<読書レビュー>
フランス各地の怖い言い伝え。古典的民話なので、現代的な怖さはありません。ちょっと不思議な話、幽霊話、悪魔話、ちょっと気持ち悪い、ぞっとする話・・・ジャンルが豊富で、読み物として単純に興味深いです。宗教観念に纏わるものもあり、文化も知ることができるかと思います。アンハッピーエンドが意外に多いです。 |
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【こぐま社】
子どもに語る ロシアの昔話
(伊東 一郎 (翻訳), 茨木 啓子)
発売日03/2007
<読書レビュー>
この本はロシアのグリム(兄弟)と呼ばれるような、ロシア民話・伝承の研究をした有名な方Александр Николаевич Афанасьев(アレクサンドル・ニコライヴィチ・アファナーシェフ)により集められた綴られた民話集の中から選ばれ翻訳されています。
森の中に住んでる足が骨な魔女(?妖婆)のバーバ・ヤガーの話も入ってます。この話は、イタリアの民話集にもあった森の中に住む悪い精霊の話とも似てる。スラブ系民話・神話から影響を受けたのかな?面白いのが、いくらかのハッピーエンドの話の最後に語り部自体が登場して、自分もその宴会(歓迎)の席に参加したというような定番?の部分があります。その時にご馳走やビールやらがでますが、飲もうとしても何故かいつも長いひげを伝ってすべて流れてしまって、結局飲めないという悲しさ。主軸の話よりも、それが全部持っていく感じがすごい私にはツボでした。 |
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【未知谷】
BALADAバラーダ ルーマニア口承物語詩
(訳/解説:住谷春也 画:シルヴィウ・バイアシュ)
発売日10/2008
<読書レビュー>
BALADAとはルーマニア語で口承物語詩のこと、節を付けて謡われる物語り。絵本のような、絵巻調で書かれています。口承ですから、複雑な文体ではなく、音と言うかリズム流れがあり美しいです。この本では、3つの物語が収録されています。「ミオリッツァ MIORITA」、「棟梁マノーレMESTERUL
MANOLE」、「太陽と月 SOARELE SI LUNA」の3つです。前2つの話には泣きました。ミオリッツァは羊飼いの話。理不尽な死をも受け入れ、死を前にしても心優しく残されたもののことを考え、死ではなく、大地と結婚するのだという。この考え方が良いとか悪いとかではなく、死に対する考え方が心に響く。人も最後には土に還る。大地と結婚をする。この民族の自然や生き方に対する考え方、民族性が伺える話です。
このシリーズもっと出版されないだろうか、もっと他の話も知りたい。
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